今月の9月3日に、艦これアーケードのプレイデータ管理ツール Admiral Stats の公開から1周年を迎えました。少しずつユーザが増え、開発に協力してくれる方も現れて、おかげで今日まで楽しく開発を続けてこられました。本当にありがたいことです。
1周年というのはよい節目なので、今回は Admiral Stats のユーザデータを解析して、利用傾向を調べてみました。この手のプレイデータ管理ツールを公開すると、どれくらい人が集まるのか(あるいは集まらないのか)の参考としてどうぞ。
解析対象は MySQL 上のデータです。解析方法の詳細は、このブログ記事の最後に貼っておきます。
アクティブユーザ数
Admiral Stats は、Twitter アカウントがあれば誰でもログインできるようになっています。しかし、この時点では、プレイデータは何も表示されません。
ログイン後に、SEGA 公式サイトからエクスポートしたプレイデータを Admiral Stats にインポートすると、プレイデータを時系列に表示できるようになります。
そのため、ログインしただけではアクティブユーザとは言えず、インポート機能を使っていればアクティブユーザと言えます。ただ、1回インポートして辞めてしまう人も割といるので、いくつかの基準で集計してみました。
グラフ上の項目名 | 集計基準 | 9月3日時点 |
---|---|---|
ログイン | その日の23:59までに1回以上ログインしたユーザ数 | 417 |
インポート | その日の23:59までに1回以上インポートしたユーザ数 | 248 |
インポート(過去30日) | その日から過去30日以内に1回以上インポートしたユーザ数 | 113 |
インポート(過去60日) | その日から過去60日以内に1回以上インポートしたユーザ数 | 134 |
このデータを見ると、だいたい、以下のような傾向がありそうです。
- ログインしても、インポートする前に離脱してしまうユーザが多い。しかし Admiral Stats 自体の改善が進んだためか、離脱率は徐々に下がっている
- 2016年9月の まとめサイト取り上げ時 は、離脱率がかなり高かった
- その後の1週間で増加したログインユーザのうち、78%(=61/78)が離脱してしまった
- 当時は Ruby 版エクスポータしか無く、使うのが難しかったためと思われる
- 流入の効果は1週間程度しか続かなかった
- 2017年7月に 艦らぼ で紹介してもらった際は、離脱率が低かった
- 公開後1週間で増加したログインユーザのうち、32%(=9/28)しか離脱していない(!)
- これは、艦らぼに 丁寧な解説記事 を書いてもらえた影響もかなり大きいと思ってます
- 艦これアーケードの期間限定海域(イベント)の期間中はアクティブユーザが増えて、終わると一時的に落ち込む
余談ですが、Admiral Stats は、おーぷん2ちゃんねると Twitter(@admiral_stats) で宣伝していました。おーぷんで宣伝したのはまとめサイトでの取り上げを期待してのことだったのですが、
- 機能追加しても、まとめサイトでは最初の1回しか取り上げられなかった
- おーぷんで宣伝しても、ある時期から PV が増えるだけでインポートユーザ数は増えなくなった
ことから、いまは Twitter でしか宣伝していません。
MAU (Monthly Active User) と継続率
インポート機能を使っているユーザを「アクティブユーザ」と定義して、これをもう少し詳しく調べてみました。
グラフ上の項目名 | 集計基準 | 8月末日時点 |
---|---|---|
MAU(全体) | その月に1回以上インポートしたユーザ数 | 118 |
MAU(その月の新ユーザ) | MAU のうち、その月に初回ログインしたユーザ数 | 29 |
継続率 | 前月に1回以上インポートしたユーザのうち、その月もインポートしたユーザの割合 | 83.3 % |
この指標で見ても、Admiral Stats の離脱率は徐々に下がっている(=継続率が徐々に上がっている)と言えそうです。
また、意外なことに、毎月増えるユーザ数(その月の新ユーザ)はイベントにそれほど左右されず、一定の値を保っていたようです。しかし、それが今年の7月で2倍近く増加しています。とうとう普及が一山越えたんでしょうか?
インポート回数
ユーザ1人あたり、1ヶ月に何回くらいインポートしているか調べてみました。インポート回数が多いほど、Admiral Stats を日常的に使っていると言えます。
Admiral Stats は複数のプレイデータ(提督情報、艦娘情報、など)をサポートしていますが、「提督情報」のインポート回数のみを数えました。ほとんどのユーザがこのデータをインポートしており、これを Admiral Stats の利用回数と同一視して差し支えないと判断しました。
以下がその結果です。僕自身のインポート回数(動作確認含む)と、それぞれの月で最もインポート回数が多かったユーザは、外れ値として計測対象外としました。
月 | 平均 | 標準偏差 | 合計 |
---|---|---|---|
2016-09 | 5.84 | 4.51 | 111 |
2016-10 | 5.33 | 4.80 | 192 |
2016-11 | 5.52 | 5.35 | 276 |
2016-12 | 5.71 | 6.57 | 217 |
2017-01 | 4.65 | 4.36 | 214 |
2017-02 | 5.02 | 5.10 | 246 |
2017-03 | 7.45 | 7.83 | 417 |
2017-04 | 8.02 | 7.73 | 497 |
2017-05 | 9.60 | 8.83 | 806 |
2017-06 | 8.36 | 9.64 | 619 |
2017-07 | 9.50 | 11.40 | 893 |
2017-08 | 9.77 | 11.05 | 1133 |
全期間 | 7.76 | 8.79 | 5621 |
インポート回数も、イベント期間中は増えて、終わると一時的に落ち込んでいます。それとは別に、インポート回数の平均と標準偏差が増えていますが、これは Admiral Stats のヘビーユーザが徐々に増えている影響のようです。
エクスポータの種類別のユーザ数
SEGA 公式サイトからプレイデータをエクスポートするために、以下のエクスポータを提供しています。エクスポータは Admiral Stats の「使い方」ページ からダウンロードできます。
- Ruby 版
- 僕が最初に公開したエクスポータ
- PowerShell 版
- sophiarcp さんが Ruby 版を移植してくれたもの(2016-09-18 提供開始)
- ブックマークレット版
- sophiarcp さんが開発してくれたもの(2016-10-29 提供開始)
- Python 版
- mimikun さんが開発してくれたもの(2017-04-18 提供開始)
今年の3月12日に、エクスポートしたプレイデータを Admiral Stats に自動アップロードする機能を追加しました。この自動アップロード時の User Agent から、実際に使われているエクスポータの種類が(やっと)わかるようになりました。
以下がその結果です。全ユーザが自動アップロード機能を使っているわけではないので、MAU よりは少なくなっています。また、1人が複数のエクスポータを使っている場合もあります(例:家では Ruby、外ではブックマークレット)。
月 | Ruby 版 | PowerShell 版 | ブックマークレット版 | Python 版 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
2017-03 | 5 | 10 | 14 | 0 | 0 |
2017-04 | 5 | 8 | 26 | 0 | 0 |
2017-05 | 7 | 9 | 45 | 0 | 2 |
2017-06 | 5 | 8 | 43 | 0 | 1 |
2017-07 | 6 | 7 | 69 | 1 | 1 |
2017-08 | 3 | 6 | 86 | 1 | 1 |
ブックマークレット版のユーザ数が圧倒的ですね。正直、この集計をするまで、Ruby 版を使ってる人はもっと多いと思ってました……。PowerShell 版とブックマークレット版を作ってくれた sophiarcp さんにはホントに頭が上がらないです。
集計方法
今回の集計は、以下の手順で行いました。普通ですね。
- MySQL のバックアップデータをローカル開発環境に持ってくる
- rails console で CSV 出力する
- CSV を Excel に取り込んで、グラフを書いたり、ピボットテーブルを作る
rails console で実行したコマンドは、2周年のときの集計のために(自分が忘れないように)Gist に貼っておきました(Gist: Admiral Stats 1周年のユーザデータ解析)。Admiral Stats のソースコードは GitHub (admiral_stats) にあるので、興味のある方はそちらもどうぞ。Star を押すと開発者が喜ぶのでオススメです。
あわせて読みたい
Admiral Stats がどういうものかわかるプレゼン資料です。
今回は Admiral Stats の利用傾向を見ましたが、こちらはプレイデータの中身を掘り下げた記事です。