
きっかけ
自作ツール(Admiral Stats)のリリース直後に、サポート用アカウント @admiral_stats を Twitter に用意していたのですが、やり取りが増えてきたので、デフォルトのたまごアイコンをそろそろ卒業したくなってきました。
以前から、アイコンのアイディアは考えていたのですが、良い案が全然浮かばなかったので、この機会にクラウドソーシングサービスを使ってみました。今回の記事は、クラウドワークスでの発注〜デザイン完了までと、使ってみての感想についてのお話です。
クラウドソーシングサービスを探す
まず、どこに発注するかですが、国内だとランサーズとクラウドワークスが有名だと思います。既存の案件をざっと見た感じ、アプリアイコンは1〜2万円くらいが相場なんでしょうか。5千円という案件もありました。
アイコンデザインだけなら、英語圏で頼むことも可能だろうと思い、海外のクラウドソーシングサイトも見てみました。ただ、数があまりにも多いのでよくわからず……。
最近読んだ SOFT SKILLS のなかで「自分のロゴをクラウドソーシングサイトに発注しよう」という話題のなかで取り上げられていた、以下の2社に目を通してみました。
例えば、Fiverr で “icon” で検索すると、「アプリアイコン5ドルで1個、訂正1回まで」みたいな仕事を受けてくれるデザイナーがすぐ見つかりました。これは極端な例としても、さすがに英語圏だと価格が大きく違うようです。
クラウドソーシングサービスを選択する
海外もいいな、と思いつつ、とりあえず希望するデザインを日本語で文章にしてみることに。
- 「艦これアーケード」というアーケードゲームのプレイデータを管理する Web アプリのアイコンデザイン
- デザインのモチーフは、操舵輪、歯車、カード、桜吹雪など、艦これアーケード自体のモチーフに近いものから選んでほしい
- データの蓄積をイメージさせる、他のモチーフと組み合わせても OK
- favicon としても使いたいので、小さいサイズで表示しても問題ないデザイン
- 色は、艦これアーケードのロゴと同様の青系、またはアイコンに使われている黄色〜茶系
- フラットデザインのUIに含めても、違和感のないデザイン
うん……。具体的なアイディアがなにも浮かんでなかったので、曖昧すぎですね。
ここまで書いて「艦これアーケードというゲーム自体や、そのモチーフについて英語で説明するのは面倒すぎるな」と気付いて、国内のサービスへ発注することに決定。
ランサーズとクラウドワークスのどちらにするか、で悩んだんですが、評判で検索してもよくわからず。なんとなく安価な印象があったので、今回はクラウドワークスのほうを選びました*1。
仕事を依頼する
アプリのアイコンをどうやって発注するのかわからずに悩んだ末に、「デザイン > キャラクター・アイコン・アニメ > アイコン作成」カテゴリを選択。

依頼の形式は「プロジェクト形式」と「コンペ形式」から選べるんですが、デザインの具体的なアイディアがなかったので、複数の案が集まることを期待して「コンペ形式」を選択。まあ、結論から言うとあまり多くの案は集まらなかったんですが……。
応募期限は、当日の24:00から、14日後の24:00まで選択可能。今回は14日後を選択。
そして、仕事の内容を入力して、最後に予算の選択です。

32,400円のスタンダードプランがおすすめ、とありますが、趣味の、広告収入もないアプリでそこまで払う気にもなれず。かといって、カスタムで安くしすぎるのも良い案が集まらなそう(僕が逆の立場なら手を出さなそう)なので、標準のプランで一番安いエコノミーを選択しました。案件を目立つところに表示するためのオプションが色々ありましたが、低予算なのでオプションは無しで。
すべての登録が完了すると、メンバー(受注者)向けに以下のようなページが公開されます。
ちなみにこのページ、募集中は受注者にしか見られないのですが、募集終了後は受注者以外(ログインしていない人)にも全公開されます。それが嫌ならプラス8,000円払うと非公開にできるみたいです。
発注〜デザイン決定までの流れ
1月16日に発注して、デザインが決定するまでの流れは、以下のような感じでした。
日付 | できごと | 提案人数 | 提案件数 |
---|---|---|---|
1/16 | 1人目のデザイナー(過去の受注実績なし)から、最初のデザイン提案 | 1 | 1 |
1/20 | 1人目のデザイナーから、別デザインの提案 | 1 | 3 |
1/21 | 2人目のデザイナー(過去の受注実績20件くらい)から、最初のデザイン提案 | 2 | 4 |
1/22 | 提案済みのデザインに対するコメントを元に、1〜2人目のデザイナーから、別案の提案あり | 2 | 10 |
1/24 | 2人目のデザイナーの案をベースにしようと決めて、更にやりとり | 2 | 13 |
1/25 | 2人目のデザイナーに、最終案の微調整を依頼 | 2 | 17 |
1/25 | 採用する案を決めたので、締切を 1/26 に早めた | 2 | 17 |
1/26 | 1人目のデザイナーから、別デザインの提案 | 2 | 18 |
1/26 | 採用デザイン決定 | 2 | 18 |
最初の4日間は提案してくれたデザイナーが、過去の受注実績のない1名のみだったので、1万円が無駄になるか?と心配だったのですが、あとから受注実績のあるデザイナーが提案してくれて、その方とデザインを微調整して最終決定、という流れでした。最終的には以下のデザインを採用しました。

後から気づいたのですが、コンペ機能だと「この案にしよう」と思っても即決はできないんですね。終了を翌日の24:00に早めることしかできませんでした。まあ、これはデザイナー側への配慮なんだと思います。
感想
クラウドワークスのコンペ機能で発注してみた感想を三行でまとめると、こんな感じでした。
- デザインを気軽に頼むには便利
- 依頼金額を最低ラインにすると、品質の低いデザインにお金だけ取られる可能性が高そう
- 信頼できるデザイナーがいるなら、同じ額を払ってそっちに頼むほうがいい
もう少し細かい感想は、以下の通りです。
提案人数と提案件数はだいぶ違う
コンペ方式だとデザインが採用されない限りは報酬0なので、デザイナーの視点で考えると、提案件数がすでに多い案件には参加したがらないでしょう。
そう考えると、発注者としては、気に入ったデザインが出てくるまでは提案件数を少なくしておきたいです。しかし、以下の理由でそうもいかない、というのがわかりました。
- 気に入らなかったデザイナーの追加提案を拒否することはできない
- この人のデザインは自分には合わないな、と思っても、追加提案は拒否できません
- デザインの微調整を依頼すると、提案件数が跳ね上がる
- コンペの途中でも、相手とメッセージをやり取りして、デザインを微調整してもらうのが一般的なようです
- しかし、微調整してもらったが結局希望に合わなかった、という場合、提案件数が増えただけで新規提案が来にくくなる、というデメリットがあります
- 提案保証人数を当てにするなら、スタンダードまで上げないと意味がない
- 提案保証人数1名だと、実績の少ないデザイナーで埋まってしまう
- 提案保証人数を2名以上にしたいなら、3万の「スタンダード」まで上げる必要がある
- しかし、そこまでの金額を払うなら、個別に頼んだほうがよくないか?
今回の場合、デザインが大きく異なるのは5件のみで、残り13件はそれの微調整でした。
特定のデザイナーを指定して依頼できるなら、そのほうが双方にとって良い
自分でデザインすることを考えれば、1万で今回のデザインが得られたのには満足しています。
しかし、ある程度実績のあるデザイナーを探して、個別に(クラウドワークスの機能で言うなら「プロジェクト形式」で)提案したほうが、双方にとって良いだろうな、と思いました。まあ、当たり前の話かもしれませんけど……。
先日の 秋葉原IT戦略研究所の勉強会 で、このサークルの同人誌のデザインをしているデザイナーの方にこの話をしてみたところ、
受注側としてはポートフォリオがないと仕事が来ないので、最初のポートフォリオを作る手段としては、デザイナーにとって良い手段なのではないか。
との感想をもらいました。まあ、確かにそうかも。
発注側としては、コンペ形式での実績を見て、良さそうな人に個別で依頼するのがよいのかもしれませんね。次の機会があったら、プロジェクト形式の方を試してみたいと思います。
*1:あとから知ったのですが、後述するエコノミープラン、クラウドワークスは 10,800 円ですが、ランサーズは 21,600 円でした。